「小説」の記事一覧(2 / 2ページ)

不定期連載小説3

 土練り  陶器を扱うこの店は、今や「何でも屋」の様相。  戦後復興の活況。毎日けっこう生活道具を求めてお客がやってくる。瞳も一人前の使用人としてお客接待にも慣れてきた。忙しい日々だった。  「あら、初めて見る顔だね。新・・・

不定期連載小説2

 兄さん、との再会だった。  まさか、あの電話の相手が兄さんだったとは。  お互い全く気付かなかった。  今、こうして実際に再会しても、わたしが姪の瞳だとはさすがの兄貴でも気が付かない様子だ。  そうだった、叔父・つまり・・・

不定期連載小説1

 かけおち  気にかけたこともなかったが、あらためてみてみると、大きな店構えだった。 不思議と懐かしいとかいった感情は湧かない。まるで、昨日までここにいたかのようだ。瞳は今、十数年かぶりに自分の生まれ育った生家の前にいた・・・

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