わたしはトムキャット・やすらぎを求めて3
政府がチャーターしてくれたプライベートジェット機。なんだか、昔見ていたドラマ『クリミナル・マインド FBI行動分析課』 みたいだな。と思う。ドラマでは、毎回、FBIの面々が美しい小型ジェット機、ガルフストリーム社のG450で捜査のために全米各地を訪れては、事件を解決して同じ小型ジェット機で帰る。そのシーンで毎回ドラマは終わるのだ。
この(ガルフストリーム社G450)がウィングレッドの翼に夕日を反射させながら大空を優雅に飛行する姿は、あまりにも美しい。まあ、実際にはジェット機には俳優たち演じるFBIメンバーが乗っているわけではないのだろうけど。
わたしが今乗っている小型ジェット機・(セスナ式525A型サイテーションCJ2+)にはウィングレッドは無いけれど、まあイメージ的には近いといえる。内装も豪華だ。
なんでも、八尾空港から羽田空港まで、片道99万円だそうだ。全く身分不相応だな。まあ、滅多に無い経験というか、多分、もう人生でこれ一回きりだろうから十分満喫しようと変に気張ってしまう。
巡航速度は一般旅客機より少し遅いのだが、羽田へはあっという間だ。小型ジェット機は羽田空港のrunway32L、通常のいわゆるA滑走路に降り立った。そして、専用の駐機場へと非常に長いタキシング(地上移動)をして、ようやく国際線ターミナルにあるビジネスジェット専用の入出ゲートに駐機した。
機外に降りるともう迎えが来ていた。黒塗りの政府公用車がいてSPらしき女性SP2名と男性SP1名の3名出迎えてくれた。男性SPが運転する。(総理の男性恐怖症のわたしへの心配りである。)
行き先は車内で知らされた。瞳は、最初、首相官邸に行くのだとばっかり思っていたのだが、なんと、市ヶ谷の自衛隊総本部だという。
(なるほど、首相官邸だとセキュリティ上問題あり。ということかな。小野田さんも言っていたが、国会の中はC国製掃除ロボットがウロウロしているという。)
報告
市ヶ谷の自衛隊駐屯地に黒塗りの政府専用車が入っていく。まあ、これは特段目を引くということでもない。
瞳は自衛隊本部の入口で車を降りた。車はすぐに立ち去った。そして、2名の女性の制服自衛官が出迎えてくれた。制服の階級章は上官だから敬礼する。
一通りの挨拶も無しに中に素早く案内された。そして、とある一室に案内された。
だれもいない応接室。古い重厚な絨毯が敷き詰められた豪華な部屋。日本国旗と自衛隊旗が立てられている。
ここで、待つように指示された。
まあ、自衛隊に限らず、応接間に案内されたら、勝手に座ってはいけない。これは、上流社会の常識でもある。主なりが来るまで立って待つのだ。まして、今日面談するのは総理である。
その代わり、いろいろな展示物を見ていると退屈はしない。応接間の飾り物、置物とは、本来、そうしたお客のための心配りなのだそうだ。上流社会のしきたりだ。わたしとは住む世界が違うわ。としみじみ思う。
ドアがノックされて、びっくりする。反射的に直立不動になる。
しかし、入ってきたのは女性自衛官だった。制服姿なので、階級が分かる。この女性自衛官は瞳の方が上官になる。
「お茶を持ってまいりました。」という。「ああ、どうも、ありがとうございます。」とどうしても民間人の対応になってしまう。
「どうぞ、お座りになってお待ちください。まもなく総理がまいられます。」と言うのだが、まもなく、総理がおいでに来るのなら、なおさらのんびり大きなソファアに座ってお茶を飲んでいたらよろしくなかろう。
と、ほどなく本当に総理が現れた。寝る間もないほど忙しい人だから、もっと待つことになるだろうと思っていたので、面食らって、思わず直立敬礼をしてしまった。
「成海瞳二等空尉、あ、いや成海瞳中尉であります。ご命令により出頭いたしました。!」
「ああ、ほんまに遠いところいきなりごめんやで、ご苦労さん。まあ、立っとらんと座ってな。」
「はっ!失礼します。」と、瞳はやっと深々とした大きなソファの前にちょこんと座った。
いきなり、本題に入る。
「大体のところは報告書読ませてもろた。ほんまに大変やったな。ありがとう。自衛官で教員免許も持っているの隊員はなかなかいなくて。今回は苦労かけたわ。」首相の最初の言葉だった。
大体のところ。すなわち、学校現場の現実。それはやはり直接報告すべきものだと思う。
「で、やっぱりか。某国の工作があるとの報告内容やけど。」
「ええはい、総理。かなりやっかいというか、複雑です。問題は、ほとんどの工作は意識されずに遂行、というか実行されています。」
「具体的には実行しているのは誰。」
「これは、おそらく、地域に一人か二人。いるかどうか。」
「なるほどな。やっぱり某国からの帰化人か。」
「それが確定できないと思えます。」
「総理がわたしをあの学校に潜入させたのは、自衛隊駐屯地に近くて、さらに特に在日外国人、帰化人が多いからだとはわたくしも理解しておりました。」
「まあ、そうやねんけど、でもな。だとすると。というのは、在日、帰化人の連中の仕業だとするとあまりにも・・・らしくない。」
「らしくない?」
「そう。連中、つまり某国らしくない。連中はいつももっと単純で見え見えの策略を仕掛けてくる。」
「それはわたしも当初より疑問に思っておりました。」
「で。どうやった。実際のところ。」
「これは、国内に協力者がいます。というより、首謀者に近い存在です。」
今の学校の実情
瞳が教育現場に入ってみて、まず異様に感じたこと。
教師たちが何かに常に怯えている。ということ。
新入りの私にすら、過剰に気を遣って反応する教師もいる。(わたしを警戒している?)
それは単に保護者様は神様です。といった昨今問題化したモンスターペアレントだけを恐れているというわけではないということだ。
もっと大きなもの。
一般教師たちは校長を恐れていないし尊敬もしていない。なぜなら、校長ですら、地域に怯えてビクビクしているのであるから、一般教師たちには校長なんてなんの権力も無いに等しい存在なのだ。
校長は、一般企業におけるような上司としての権力、威厳を持たない。教頭もしかり。
むしろ、軽んじられているともいえる。
校長は、朝の立ち番。いわゆる校門前での挨拶運動を年中休み無しに行う。これは日本中のほとんどすべての校長といってもいい。必ずこれをやる。
そして、その校長の横を、立ち番以外の通常勤務時間の他の教員が悠々と出勤登校してくる。
普通の組織、企業などでは、上司が朝の立ち番をやっているなら、それより先に出勤して同じように立ち番をせざるを得ないであろう。松下幸之助なら絶対にそうさせるし、でないと、上司のお覚えは決して良いものにはなり得ないからだ。それが日本の悪しき風習でもあるが、学校がだからといって先進的なのかといえば、そうではない。
校長が朝の立ち番、挨拶運動を生徒以外にも道行く人全員に片っ端から「おはようございます!」などと挨拶している光景というのは、ある種異常ですらある。
一般の教師も常に何かに怯えてビクビクしている。何がそうさせているのか。彼らは何を恐れているのか。
瞳は任務で学校現場に入るたび、この異様な雰囲気を感じるのである。
そして、子どもたち、生徒たちはそういった教師を常に観ている。
学校の勢力分類
地域においては、「教育委員会」、「学校」、「保護者」、「教員組合(左派系が主流)」、「地域の有力者」を主な学校関連の勢力要素として挙げることができる。
疲れてきたので続きます。要は、このどれかに某国の力が作用しているということです。


