わたしはトムキャット・やすらぎを求めて2

成海瞳の鬱(うつ)日記

 報告

 今現在、日本社会の抱える緊急の重大問題。それは、外交問題、経済不況、そして日本を巻き込む武力衝突の危険性、移民問題を含めた外国勢力による侵略の顕在化などが挙げれる。

 しかし、一般にはまだ認知すらされていない重大問題が他にも存在する。としたら。

 それは、『教育問題』である。

 『教育は百年の計(きょういくはひゃくねんのけい)』といわれる。つまり、未来の日本国家の存続は、日本の将来を担うであろう青少年の人材の育成にかかっている。ということを意味している。それがすなわち国家の存続と安定をもたらすものなのだ。

 すなわち、『教育』とは、国家の根幹を成す重大な一角なのだ。

 しかし、もしもこの『教育』が、外国勢力による何らかの工作対象になっているとしたら。

 潜入調査任務・調査報告書

瞳、どうしたんだその恰好。また、教師にでも就職しようってわけじゃないだろうな。

  「瞳、今日はどうしたんだその恰好。また、教師にでも就職しようってわけじゃないだろうな。」

  「ああ、これね、じつはね、総理にこれから会いに行くんだ。例の任務の報告・・・というより、もう報告書はNSCに提出していて総理に渡ってるんだけれど、わたしからもぜひ直接聞きたい。っておっしゃって。」

 「へえー。そりゃまた光栄というか、大変だな。」

 「うん。やっぱり初めて会ったときもそうだけど、緊張する。でも、実はね。任務が終わってから、わたしの事いろいろ心配してくださって、内閣から自衛隊に、総理の私宛のメッセージが来たんだよ。任務ご本当に苦労様でした。って。」

 「ほおー。今度の総理はやっぱり今までとは違うな。」

 「あのね。これ内緒だけれど、というかもう機密事項だね。言っちゃうけど、マスターには。」

 「何だ。いいのか。そんなことして。機密事項だろう。」

 「まあ、機密事項は大げさかな。実はね。私的に電話いただいたんだよ。もちろん盗聴されない自衛隊の回線だけれど。もう、びっくり。」

 「そりゃ本当かね。・・・で、・・・総理は何ておっしゃったんだ。」

 「『今回は、ほんまに大変やったね。ごめんね。何か今も通院してるらしいやん。わたしもできるだけのことはするから、しばらく安心して休みや。』って言って下さった。総理って関西訛りなんだよ。」

 「ああ、確か奈良出身だからな。」

 「それでね、マスター。猫ちゃんたちお願い。この子たち人間の言葉分かるから。」

 「ああ、構わんよ。心配するな。もうこいつらとはわしも仲間だからな。」

 瞳は、八尾空港の民間チャーターのビジネスジェット機で東京羽田空港へ直行した。

 報告だから、公用扱いなのだ。確かに報告内容は重大なものだった。民間エアラインの旅客機では、セキュリティ警戒上の問題が発生しうるといえる。つまり、調査結果で判明したことは、あまりにも重大だった。

 学校の支配者の正体・学校という名の拘束システム施設

 八尾空港RUNWAY27から、小型ジェット機が離陸した。今回は瞳は乗客だ。海に向かって真っすぐ離陸してその後急上昇、そして右旋回。この八尾空港は、大阪伊丹空港への航空便の航路のほぼ真下に位置する。なるべく真っすぐ海に向かって離陸してその後に急上昇して伊丹空港に向かう航空機のアプローチを避けるわけだ。

 大阪湾上空で伊丹空港を右手に見て、その後大回りに左旋回して一般エアラインの航路に乗る。そして一路羽田空港に向かう。もう午後だった。西日が眩しい。

 自分が操縦する時と違っていろいろ考え事をする。任務の事。

 (子どもたちがまず第一の被害者だ。何てことだ。小中高生の自〇数はこの3年間は毎年500名を超えている。信じられない。)(注1.文部科学省(https://www.mext.go.jp/content/20250303-mxt_jidou02-00004070_001-1.pdf)

 学校とは、そもそも一体何なのか。

 今の学校、いや、昭和の終わる頃にはもう完全にまるで刑務所化している。そう、この「学校の刑務所化」という言葉、どこかで聞いた覚えがある。

 そうだ。学校でのいじめが問題化した頃、ある支援活動家が言った言葉だ。

 確か1986年だったか、『葬式ごっこ事件』が世間を驚かせていた時期だ。当時中学生だったS君が、教師も含めた葬式ごっこをはじめとするいじめを苦に、自〇した事件であった。

 本来、子どもたち、生徒たちを大事に慈しみ育て上げるのが学校の任務のはずだった。

 いつから、学校は狂いだしてしまったのか。

 そして、教師さえも苦しみあえぐ場所になってしまったのか。

 わたしが観たもの。あの恐ろしい実態。何てことだ。今でも信じられない。

 

つづく *これは小説であり、登場する団体等は架空のものです。

 (注1.:文部科学省(https://www.mext.go.jp/content/20250303-mxt_jidou02-00004070_001-1.pdf)よりの引用。

      

 

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