週刊日曜日・人工結晶水晶の大玉が今、市場に出てこないわけ:追記

 15日追記です。

 *わたし、記事で工業用人工水晶のことを書きましたら、詐欺グループの方も工業用人工水晶の詐欺サイトを出しました。ご注意ください。ヤフーオークションの偽ロゴとか楽天の偽ロゴをつけている場合もあって大変悪質危険です。

 サイトが本物のヤフーオークションやラクマであるかをご確認ください。

 おはようございます。ちょいネタです。

 わたし、3月に合成ロッククリスタルの64mm玉の詐欺に逢ったんですが、この水晶玉自体は、中国の業者『風流ストーンズ』が数年前に実際に制作販売していたらしいものです。で、現在は製造販売はしていません。

 詐欺グループは、このときのネット販売の画像を無断流用して騙し、客に料金先払いさせておいて、それっきりの詐欺をしています。今も。

 今、合成ロッククリスタルで検索して、画像が、玉越しに新聞の文字が二重に見える画像、ノギスで64mmで大きさを示している画像のサイトは、同じ詐欺グループの詐欺サイトです。

 セキュリティソフトが、これらすべてに詐欺サイト警告を出しています。現在は、ウィンドウズのデフェンダーでも詐欺警告が出るようです。ですから、次々新しい偽サイトで詐欺行為を続けています。

 合成水晶の大玉は現在出回っていない

 原因は、合成水晶、人口水晶などのいわゆる工業用合成・人工水晶による水晶玉の大きいものがまったく販売されていないからのようです。つまり、商品が市場に出てこないわけです。

 さんざん探してみましたが、ラクマに1件落札済みのが出るだけです。あとは、「人工結晶」という文言を入れて検索しても、「練り水晶・溶錬水晶(いずれもガラス)」しか出てきません。

 結晶体の人工水晶で、出てくるのは、例の詐欺グループのサイトだけです。

 だから、みなさん、これには注意してください。警告が出ると思いますが、警告通りに詐欺です。

 相当、大がかりにやっているようです。儲けの単価が低いのでしょう。これだけ派手にやってれば、いずれ逮捕も時間の問題です。

 何故、完全な透明の大玉は、「練り水晶・溶錬水晶(いずれもガラス)」しか出回らないないのか

 これが、詐欺グループの狙いどころなんでしょう。

 数珠とかの小玉は、人工結晶の水晶は結構あるんですけどね。わたしの15mmの正20面体カット水晶も多分人工結晶水晶だろうし。

15mmの大きさの20面体のカット水晶。多分、きれいなので人工結晶水晶。 天王寺mioで買ったのを思い出しました。今はこの店舗はありません。

 人工結晶の水晶は、パワーストーンの浄化能力とか以前に、本物の水晶です。水晶に浄化能力なんて、天然だろうがもともとありません。しかし、結晶体としての水晶の価値があります。 

 つまり、ガラスではない、本物の水晶なんです。パワーストーンブームとか別に、わかっている人は、つまり、貴石としての価値を知っているんです。

 では、どうして、市場に出回らないのか。

 それは、できないからです。

 わたし、日本のファインクリスタル社様から、最高品質の人工結晶水晶をご提供いただきました。

 天然ではありえない純度と品質。これで、水晶玉ができたらどんなに素晴らしいものができるのだろう。

 しかしこれには、実は、人口水晶の製造上の都合があるわけです。

 ファインクリスタル様から頂いた最高品質の結晶体を見ていてふと、思い当たることがありました。

 先の詐欺グループのサイトの大玉の人口水晶(結晶体の方)の写真の水晶玉は、直径が64mmもありました。これ、おそらくは、原材料がロシア製だと思われます。

 ロシアは工業的(主にたぶん軍事上)目的で、大変大きな人口水晶を製造しています。(一説厚みが30cm以上のものもあるらしい。)

 このうち、電子部品に使えない品質不良のものが、流出しているんだと思われます。

 人口水晶の製造は、オートクレープという超高圧容器で数か月もかけて製造されます。水酸化ナトリウムなどの中に種結晶となる薄い数ミリの水晶板を吊るしてそれに結晶を成長させていくわけです。これ、実は非常に高度な技術と設備を要します。一定数、どうしても不良品が出ます。中国の一般業者にはとても無理です。

 水晶は、本来天然では、高温高圧下の地層中の地下水のなかで何万年もかけて成長します。そのうちで、きれいな不純物のない透明なものは、まさに奇跡の産物なのです。

 ところでわたし、小学校の理科の授業で、ミョウバン結晶をつくる授業をしたことがあります。8面体のきれいな透明な結晶は、なかなかできないんですよ。

 この実験、子供たちは大好きで、なるべく大きな透明のきれいな結晶にトライします。でも、たいていは失敗します。濁ったものとか、成長しないものとかがほとんどです。教科書通りに水を煮沸し、塩素を抜いた後、発泡スチロールの箱で、何日もかけて慎重に成長させてもほとんど失敗します。

 で、わたし、いろいろ個人的に研究しまして、ほぼ完全な透明のきれいな8面体の結晶を作る方法、セオリー、成功率の高い理論を発見しました。教科書に載っている参考の見本の写真よりも綺麗な透明度。

 でも、まったく同じ条件、水溶液の濃度とか温度、時間以外にも、気温とかも含めて同じ条件で複数個ビーカーをセットしても、何かの要因で失敗作が一定数できます。結晶というのは、本当にデリケートなんです。

 何を言いたいのかというと、結晶の性質というのは、条件が非常に難しくて失敗作が必ず出ます。だから、品質不良の流出品が中国などに出回るのでしょう。

 結晶の境界面

 上記のこととは少し別のことなんですが、理科教材研究のとき、ふと不良品の発生率とは別に発見したことがあります。

 重要なこと。結晶体の結晶成長段階では、種結晶との結晶境界面がどうしても必ず生じる、出てしまうということ。

 これ、水晶では、天然でゴースト水晶(ファントムクォーツ)といわれるものにみられる現象、特徴です。これは、結晶の成長が一旦止まったあとに再び成長を開始したときに現れる現象で、結晶の境界面が現れている状態です。これは、工業用人工結晶水晶でもありまして、これ自体は品質不良ではありません。どうしても生じる現象です。

 で、本題。

 厚みのある人工結晶水晶のブロックから、なるべく大きな玉を削り出そうとすると、玉の赤道付近に境界面が生じるわけです。(ロシア製の厚み30cm級のものならば、半分の直径10cm以上の玉もできましょうが、わたし、宝石研磨の職人さんに聞いたところ、大きな玉を研磨するとなると、玉の直径が原材料の厚みから2cmは小さくなるそうです。大玉を作ろうとすると、相当に厚みのある人工結晶のブロックが必要ということになります。)

 水晶玉の赤道面に境界面が見えたら、これは、見栄えがよろしくない。

 品質基準に満たないで、流出している人工結晶のブロックでも、この境界面が見えない綺麗なものもあります。が、レーザーでチェックすると必ず見えます。

 つまり、今、大玉の人工結晶の水晶玉が市場に出ないのは、原材料がもうロシアにも品薄なのと、もともとがいいものができないという事情からのようです。

 意味が分からない方むけに補足

 これ、特定の人たちを決して馬鹿にしているわけではありません。が、パワーストーンブームの異常性を観て、改めて結晶の意味、すこし解説します。結晶水晶と、「練り水晶・溶錬水晶(いずれもガラス)」との違いなんですが、成分自体は基本同じです。しかし、本物の水晶は、酸素原子とケイ素原子が規則正しい配列で結合しています。一方、ガラスは非晶質(アモルファス)といいまして、ごちゃごちゃ混ざっている状態です。(結晶水晶でも、一旦高温の融点で溶かしてしまうと、結晶構造は壊れてしまって、一旦壊れた水晶の結晶構造は、冷えても再結晶は起こりません。いわゆる石英ガラスになります。)

 だから、ガラス(石英ガラス)はモース硬度も水晶より柔らかく、複屈折も圧電現象もありません。逆に、それだから、この石英ガラスの良質のものは、カメラの高級レンズなどに使用されています。

 繰り返しますが、パワーストーンのパワーとは圧電効果などであって、浄化作用とか霊的な力はありません。

 工業用人工結晶水晶とは

 これは、主に精密な電子部品に不可欠です。だから、ロシアもアメリカも日本も高品質のものを製造していて、独自のノウハウをもっているわけです。不純物のほとんどない完全な二酸化ケイ素(水晶)です。

 形もいわゆる水晶のクラスターの六角柱に似ています。工業用人工水晶は大体直方体に近いのですが、これは、いわゆる天然水晶の六角柱に至る中途の段階の形です。この段階でオートクレープから引き出します。

 精密部品の製作には、原子構造が重要で、その構造の特定の向きに従って精密にスライスします。六角柱にしてしまわないで、ブロック状でオートクレープから出すのは、部品加工のしやすさもあるのだと思います。最終的には厚さ長さmm単位の小さな精密部品に加工されます。

 

 

 

 

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