公募展に絶対入選する方法の3

瞳の鬱(うつ)日記

 こんばんわ、瞳です。過去記事「公募展に絶対入選する方法の2」へのアクセスがまたまた増えてきました。丁度、去年の8月8日に追記を書きました。はやいもので、もう一年経ってしまったのかな、と思います。

 著名団体の東京本展開催が迫っています。二紀展は運送会社の締め切りが9月のはじめですから、制作する方は大変だと思います。

 何せ、この暑さです。わたしは、数日前の記事にあるように、冷房付きの10畳のアトリエを失いましたので、事実上、制作活動は難しい状態です。

 しかしまあ、アトリエを持っている住宅事情に恵まれた方というのも少数派で、多くの方々は、狭い自宅でやりくりして100号やら130号やら150号の作品を制作しておられるわけだ。まったく見習わなくては。

 で、昨日、とりあえず心斎橋カワチ画材に行って材料を仕入れてきました。こういった画材店に行くのは久しぶりなんですが、ちょっと行かない間に本当にいろいろなものが商品化されていて面白かったです。それらをいろいろ観ているうちに、制作意欲も湧いてきて「あれもできる。これもできる。わー、凄い!」状態だったんですが、運送会社の締め切りまであとひと月足らず。正直できるかな。という感じです。

 去年は入院直前で、自分でも驚くべき集中力で何とか間に合わせました。(どこに、どんな名前で出したかは秘密。)へとへとでした。今年もそういけたらいいんだけれど、今年はどうかな。

 「公募展に絶対入選する方法の2」の続き

 さて、本題。一年もほったらかしで申し訳なかったのですが、マチェール(絵肌)の話の続き。

 前回は、何かを描く前の段階、マチェールづくりをまずやれ。と書きました。布キャンバスでいいんです。玄人みたいに100号で5万円もするパネルに下地を造る必要はありません。最近は、本式のテンペラ絵の具によるものでなくても、アクリル絵の具でもかなりの絵が描けます。

 アクリルジェッソやモデリングペーストなどを基本に、こてやらを使って何も考えずに左官のように壁塗りをしろ。とか書いたと思います。地塗りという段階です。そんでもって、ときどき、薄く溶いた絵の具を刷毛で塗って古布で拭き取ったり(グレーズという技法です。)、ジェッソやペーストをところどころ削り取ったり、引っ搔いたり、また何も考えずに何色でもいいから絵の具を塗って、その上からまたジェッソやペーストを塗り、また削る、引っ掻くとかをひたすら繰り返します。

 それらの作業でキャンバス地もだいぶ厚みが増してくると思います。

 で、一度家のおもてに絵を出してみて、その下地だけの自分の絵を観て下さい。具体的なものが何も描かれていない状況なのに、もう何だかそれなりの芸術作品になっていると思います。作業中、自分でも思いもよらない面白い模様やでこぼこができていると思います。これがマチェールです。

 下描き

 で、スケッチなどに、サムネールとかエスキースとかアイデアスケッチとか呼ばれる絵のイメージをメモ用紙程度の大きさで鉛筆なりで描いてみます。具象でも抽象でもこの手順は必要です。ただし、本作品の縦横比を合わせておく必要があります。何百枚も描けという先生もいらっしゃいますが、意味は、テーマを決めたら、対象の画面上の位置などを少し変えたバージョンを何枚も描いてみろ。ということです。実際に200枚以上描かれる先生もいらっしゃいますが、最低でもパターンを10くらい描いてみるわけです。

 わたしは、フォトショップなどのソフトを使いますが、これだと実際に数百パターンをシミュレーションできます。

 師匠の場合は、コンピューターはまるっきりでしたから、描く対象を切り絵にしてみて動かしてみたり、別の絵を貼り付けてみたりしていました。こういった手段も有効です。

 これらのエスキースは、単色で十分です。丁寧に描きすぎる必要はありません。「構成」をみるわけです。

 とにかく何枚も描いて下さい。このときに、「構成」を練りに練るのです。これが勝負です。

 疲れましたので、続きます。

2022-8-10 「構成」とは

 この「構成」ですが、私の絵の師匠の奥義に通じる要なのです。非常に重要な要素です。わたしの師匠の言葉を借りれば、「構成」がすべてだ。(作品の完成度において)ということです。

 その、「奥義」を読者のみなさまに・・・。と思ったけど、どうしようかな。

 これは、師匠のお許しが無ければお教えするのはやはりよくないか。とはいっても、言葉で伝えられるものでもなし。かの自称美術作家の先生は、この奥義が理解できなかったわけです。

 なので、ここでは、一般的な「構成」、つまり画面構成について書きます。

 基本として例を挙げます。初心者向けです。多くの絵画技法の書籍に書かれていますが、簡単な例をあげます。

 まあ、何を描くか、具象か抽象かにかかわらず、基本といえるのは、画面のバランスです。

 描く対象が複数の場合。対象同士の間の空間も「形」として観ます。対象物とその間の空間のバランスを画面上で構成します。

 こういった一般的な絵画では、風景画、人物画、静物画などは、バランスよく画面に収まるのがスタンダードです。

 まあ、これに関しては、専門書などをご覧ください。基礎的なことが書いてあります。

 それら一般向けとは別に、芸大・美術系大学の受験予備校などで教わるテクがあります。

 わかりやすいチェック方法。画面を逆さまにしてみる、或いは鏡に映してみる。そうすると、客観的に観察ができます。こうすると構成が狂っているとなんか変に見えます。これ、単に中心がずれているとかいう単純なことではなくて、画面構成の構想の段階からまずかったわけです。だから、サムネール、エスキースをとにかくたくさん描いてみるのです。

 また玄人の専門的なもの、現代絵画で抽象やシュールレアリズムなどのモダンアートでは、画面のバックを「地」とし、描く「対象」との対比を観ます。

 一般的な絵画もモダンアートでも「構成」の基本は同じです。こういったいわゆるモダンアートは、一見変な構成になっているようなものもありますが、実はこういった一見変な作品も「構成」をしっかり計算して描かれています。

 テーマとなるものが、画面の中心からずれている、或いは、変にバックが開いている。とか行った場合でも、それは計算されたものなのです。モダンアートはあえてバランスを崩したりして絵画の動きや、絵の伝達力(訴えてくる力)などを創り出します。

 次回は、下地からの描き出しについて書きます。

2022-8-11 キャンバスに描き始める

 多くの場合、真っ白なキャンバスに下絵を描いてから始めるのが一般的ですが、玄人は、「下地」を先に作ります。「下地」とは、上で書いた「マチェール」作りを施したキャンバス面のことです。

 この「マチェール」の「下地」だけでも作品になります。りっぱな抽象画です。

 具体例を挙げます。たとえば焼き物の備前焼や志野茶碗などの焼き物の名品が手本になります。あの肌がキャンバスに出来ていれば、まあ、OK。これ、こういうこと言ってるの、わたししかいませんが、絵画作品制作者ならば、誰も否定はしませんよ。多分。

 この「下地」に初めて、下絵を描きます。木炭で軽く描いていきます。画面を16分割くらいして、エスキース、サムネールも16分割して正確に拡大します。木綿糸をキャンバスに張るといいです。

 いよいよ描く

 下絵が出来たら、絵の具で描いていきます。アクリル絵の具でのテクニックを例に解説します。

 下絵の前に、バーントアンバー、ローアンバーなどの焦げ茶色系の絵の具を、シャバシャバに水で溶いてキャンバス全体に刷毛で塗って、拭き取るというグレーズをしておくといい感じの落ち着いた「下地」ができます。玄人は大抵それをしています。

 カルチャーセンターの絵画教室では教えてくれません。

 でもって、絵の具で描いていくのですが、描くときはあまり水で溶かずに細筆で「点描」で描きます。平筆で塗っていくと、せっかくの「下地」のマチェールが消えてしまいます。

 100号の大作品でも、細い筆で描くのです。これが絵画の密度を生み出します。

 ところどころ、下地が見える状態でいいのです。

 絵が上手、下手とかではなくて、これで、けっこういいのができるはずです。

 この技法、二紀会の山本文彦先生がずうっとむかしのNHK趣味講座で実演されていました。テキストが古本屋などにあると思います。大変参考になります。是非、探してごらんになってください。

 まあ、こんなところです。初心者向けの内容でした。

 もちろん、絵画の表現方法は多種多様でこれはほんの一例にすぎません。この記事では、比較的初心者でも一定レベルの作品が描ける方法を解説しました。

 

 

 

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