わたしはトムキャット・さよならみんな。

 3月31日 日本時間 08:00時(マルハチマルマルグリニッジ標準時30日23:00時)

某自衛隊駐屯地

 隊員は、いつも見慣れた格納庫前のエプロンに見慣れぬ姿を見つけて呆然と立ち尽くした。3月最後の日、近くの中学校や小学校の校庭、公園などの桜の花はもう満開の朝である。

 (なんだあれ、なんであんなものがこんなところにあるんだよ。)

 ここは、陸上自衛隊の駐屯地。駐屯地という名前だが、戦時中、ここは旧陸軍の基地で短いながらも交差滑走路を備えた基地である。そこそこ大きな地方の空港で、民間の小型飛行機も多数離着陸する民間と共用の空港でもある。部隊は汎用輸送ヘリを主な装備とする部隊で、ホームページには、「主な装備は各種ヘリコプターで、人員及び物資の輸送などが主な任務である。また、災害などの救援活動時には、地上部隊の輸送支援、物資の空輸などを行い、それに備えて昼夜を問わず待機している。」(陸上自衛隊・八尾駐屯地ホームページを参考にしました。)とあり、輸送などを主な任務であるとする部隊が所属する。大きな通信システムもそなえている。

 任務からして、戦闘ヘリや地上部隊などの武装関係の装備や設備は見当たらない。航空施設基地には必須の対空防空施設も無い。

 基地であるにもかかわらず、隣接する地元の中学校のグランドとは、フェンス一枚で隔てられているだけののんびりした雰囲気である。

 「おいあれ見ろよ。あれ戦闘機だぜ。」

 「ああ本当だ。米軍機だな。いつのまにこんなところに来ていたんだ。全然気が付かなかったぜ。」

 「よくまあ、こんな短い滑走路に降りられたもんだ。」

 「艦載機かな。艦載機だから着陸速度が低くできるし、足が丈夫だからギヤブレーキで強引に止めたんだろう。増槽も何も付けてない。目一杯軽くしたんだ。まあ、タイヤはもうダメだろうが。」

 「しかし、なんでまた。・・・・・」

 帰還・出発の日

瞳の鬱(うつ)日記

 「みんな驚いてますよ。」火浦二等陸佐が司令棟最上階の司令官室の窓からエプロンの様子を眺めながら言う。

 「そりゃそうだろう。」日比野一等陸佐が答える。この駐屯地の司令を務める彼は、中部方面航空隊長を兼任する。

「そりゃ戦闘機のトムキャットがいきなり現れたら誰でもびっくりするだろうよ。」

「あの大きな戦闘機が、実はこの駐屯地に半年も前からいただなんて誰も信じないでしょうね。」

「ああ、全くだ。」

「光学迷彩ですか。実際にわたしもその効果を観たのは初めてです。よく米軍がこんな凄いもの提供してくれたもんだ。」

「わたしもそう思う。この駐屯地、いやこの基地は表向き輸送部隊ということになっているが、しっかり中国やロシアから監視されている。」

「偵察衛星では絶対に分からなかったでしょうね。もちろん、まじかでみても分からない。凄い技術ですよ全く。連中今頃びっくりしてるだろうな。」

「やっこさんたち、今頃大変だよ。まあ、今日ばれちまったわけだが。」

「司令、結局この任務は一体何のためだったんですか。」

任務終了

 この駐屯地、いやこの学校に来て今日任期が終わった。やっと終わった。瞳はそう思う。やけに長い半年だった。教員という仕事は実は初めてというわけではない。むしろ延べの期間でいえばベテランに近いのではないか。しかし、今回のこの学校勤務はかなり堪えた。辛かった。今は心身ともに本当にへとへとだ。

 辛い学校勤務というのは初めてではない。というか、いつも学校勤務というのは辛くて当たり前だと思っている。楽しい勤務体験なんてなかった。教育実習のときに体験するような学校は、実は実習生はお客さんにすぎないからなのだ。子どもたちはいい顔しか教師(実習生)に見せない。だから楽しい学校生活の幻影がみえるだけだ。実際にはそんな学校は存在しないのだ。

 実際の勤務といえば、一言でいえばストレスとの闘いである。学級崩壊して担任が入院してしまった後に入ったりすることも多い。最近の子ども、特に小学校高学年は心が荒廃している。学校は社会の縮図なんだと痛感する。

教育問題

「火浦二佐、今の日本の教育行政をどう思う。」

「司令、いきなりなんですが。そんなこと私に訊かれても分かりませんよ。」

「まあそうだろう。ふつうはそうだ。だがな、君は(「国家百年の計は教育にあり」)という言葉を知っているかね。」

「ええ、そんなようなことはどこかで聞いたような気がします。しかし、それがこのトムキャットと何か関係があるとでも。」

「実はそうなんだ。これは国家安全保障戦略(NSS)の一環なんだよ。」

「なんですって。つまりNSCからの命令だと。」

「君も知っての通り、日本には国家安全保障会議というものがある。これ自体は、2013年12月に当時の安倍晋三首相が設立させた。当時は対米従属べったりの安倍さんによる米国の国家安全保障会議(NSC)のものまねだとかいわれて(日本版NSC)などと呼ばれたものだ。」

「ええ、そうです。今でも自分はそうだと思いますよ。」

「ところがだ、さすが国家安全保障会議というだけのことはある。一応ちゃんと考えてるわけだ。日本のことをな。」

「つまり、教育行政は国防と関係があるとでも。」

*今回のこの内容は、フィクションであり、実在のものとは何ら関係はありません。

次回に続く。記事の日付が変わります。

軽量化のため外部兵装、増加タンク無し。

 

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